1.熱いお湯より"ぬるめ"でぽかぽかする、不思議
「冷えが気になるから、つい42℃くらいの熱いお湯に入りたくなる」そんな方は少なくありません。入った直後はカッと汗が出て、"温まった気がする"一方で、湯上がり後に急に冷えを感じたり、のぼせやすかったりすることもあります。
一方で、重炭酸タブレットを溶かした38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かると、
強い熱さは感じないのに、じわじわと体の芯まで温まる
お風呂から上がったあとも、ぽかぽかが長く続く感じがする
といった声が多く聞かれます。
この"ぬるめなのに深部まで温まりやすい"感覚の背景にあるのが、重炭酸イオンによる血行サポート という考え方です。

2.重炭酸イオンとは何か?
重炭酸イオンは、炭酸水素イオン(HCO₃⁻)とも呼ばれ、もともと私たちの体液や血液の中にも存在する成分です。
重曹(炭酸水素ナトリウム)
クエン酸 などの有機酸
といった成分を、一定の条件や配合でお湯に溶かし、お湯のpHを中性に維持することで、お湯の中に重炭酸イオンが豊富に存在する状態をつくることができます。
この"重炭酸イオンを多く含んだお湯"が、いわゆる重炭酸浴と呼ばれるものです。
3. ぬるめのお湯×重炭酸イオンで起こること
重炭酸イオンを含むお湯に浸かると、皮膚表面からじわじわとイオンが接触し、体表の血管まわりの環境に変化が起きると考えられています。
研究報告の一部では、
皮膚血流量の増加
末梢の血管がゆるみ、血液が流れやすくなる変化
入浴後もしばらく深部体温の上昇が持続しやすい傾向
などが示されています(※いずれも一般的なメカニズムの説明であり、特定の商品による効果・効能を保証するものではありません)。
ここで重要なのが、「お湯自体はぬるめでも、血のめぐりが高まりやすい」 という点です。熱さで一気に体表を温めるのではなく、血液の流れを通して内側からじんわり温めていくイメージに近くなります。

4.NO(一酸化窒素)と血管の"ゆるみ"
血流の変化の説明によく出てくるのが、NO(一酸化窒素) という分子です。
NOは、体の中で作られるガス状の情報伝達物質で、血管の筋肉に「少しゆるんでいいですよ」と伝える役割を持つことが知られています。
世界的学術誌である"Scientific Reports"に掲載された論文(Article number: 21789 (2021) Published in Nov-8. 2021)において、重炭酸入浴により、
末梢の血管周囲でNO関連の変化が起こり、
それが血管の拡がりやすさ(弛緩)につながる
といったメカニズムが示唆されています。
その結果として、強いお湯による熱刺激に頼らずに、穏やかに血流が高まり、深部まで温まりやすい状態をサポートしているのではないか、と考えられています。

5.「のぼせにくく、冷めにくい」温まり方
熱いお湯は、皮膚表面の温度を一気に上げる一方で、体は「熱すぎる」と判断して汗をかき、心拍数も上がりやすくなります。すると、
湯あたり・のぼせを感じやすい
湯上がり後に急に体表の温度が下がり、かえって冷えを感じることがある
といったことが起こりがちです。
重炭酸浴のように、ぬるめのお湯で血行をゆっくり高める入浴は、
心臓への負担が比較的マイルドになりやすい
のぼせにくく、長めに浸かりやすい
結果として、深部までじんわり温まる感覚を得やすい
という特徴が期待できます(※体調や個人差により感じ方は異なります)。

6.重炭酸浴を活かす入浴のコツ
最後に、重炭酸イオン入りのお湯を日々の入浴で活かすポイントをまとめます。
温度は38〜40℃程度の"ぬるめ"に「少し物足りないかな?」と感じるくらいが目安です。
15〜20分を目安に、肩までゆっくり浸かる。じわじわと温まりを感じるまで時間をかけることがポイントです。
深い呼吸を意識しながら、リラックス。からだだけでなく、心も切り替える時間として使うと、入浴全体の満足感が高まりやすくなります。
体調に不安がある場合は、医師に相談を。心疾患・高血圧などをお持ちの方、妊娠中の方などは、無理をせず、かかりつけ医に相談のうえ入浴してください。
お湯の温度より、「血のめぐり」を意識する入浴へ
「冷えが気になるから、熱いお湯で一気に温まる」から、「ぬるめのお湯で、血のめぐりから整えていく」入浴へ。
重炭酸イオンを活かしたぬるめの入浴は、そんな発想の転換を後押ししてくれる存在です。
今日のお風呂は、温度計の数字だけでなく、"からだの中からぽかぽかしてくる感覚" に少しだけ意識を向けてみてください。
見た目はいつものお湯でも、その中では、重炭酸イオンが静かに血行をサポートしています。
