01.29 2019
炭酸泉の歴史
ヨーロッパの中高山地帯には火山帯があり炭酸ガスを発生させています。
古代ローマ人は浴場として利用を始め、飲料水としても活用され始めました。
映画「テルマエ・ロマエ」で古代ローマで傷や病気の治療として温泉が活用されてきたことが描かれていますが、中でもドイツは研究が盛んで、心臓に負担が掛からないことから「心臓の湯」と呼ばれ温泉保養として昔から利用されて来ました。
日本には江戸時代末期に西洋の温泉医学が入ってきたと言われ、昭和初期にドイツで温泉治療学を学んだ研究者らによって研究が進みましたが、国内にある天然炭酸泉は数少ないため貴重な存在となっています。
炭酸泉の入浴には、体を芯から温め、血行促進や冷え、肩こり、腰痛、筋肉痛の緩和などに効果があると言われています。
日本でも数少ない炭酸水素塩泉である大分県の長湯温泉は、お湯の温度自体は低温ながら、長時間入浴すれば体を芯から温めることができるとして有名です。
天然炭酸泉について
天然炭酸泉は、昔から療養目的でよく使われています。これは体に負担をかけずに血流を良くし、免疫力を高めるなどの効果が期待されているからです。
ところが、炭酸泉の主役とされる炭酸ガスは、皮膚から取り込まれることはほとんどなく、すぐに揮発して空気中に逃げてしまいます。
ではその真の効果とはどういったものなのでしょうか?
天然炭酸泉の効果の主役
実は名泉と呼ばれている炭酸泉の多くには、ある共通点がありました。それは、天然炭酸泉のpHと、湯中に溶け込んだ「重炭酸イオン」です。
一般的に、酸性の湯中に1000ppm以上の炭酸ガスが溶け込んでいる湯を炭酸泉と呼んでいます。これはほぼ過飽和状態に近い数値です。
しかし、名泉と呼ばれるドイツの療養泉や大分県の長湯温泉などは、pHがほぼ中性(6.7~7.1)です。湯中に大量の炭酸ガスが存在できるpHではありません。その代わりに、炭酸ガスが「重炭酸イオン」に変化して滞留しています。この「重炭酸イオン」が効果の主体である、と考えられているのです。